青い鳥の考察
January 13,2023
その日、1月の寒空は
文句の言いようのない青空で。
私は「青い鳥」という
お店に行く道すがら。
いつものように遠くの空を
見つめながら歩く。
青い空に青い鳥が飛んでいたら
さぞや見つけづらいだろう。
てか、保護色の有効範囲‥‥広っ‥‥!
そんなことを考えながら。
すると、
《 「幸せ」の鳥と言われている青い鳥、
その本当の姿はね、「自由」の鳥 》
ヒュルルとふく北風が「内緒だよ」と
通りすがりの一瞬に私に耳うちしていった。
‥‥ん!?。
そんな小悪魔的女子がするような
不意打ちに(どんなだ。。)
興味を示さないはずがなく。
目的地まで考察する。
「幸せの在処」を問うお話が
メーテルリンクの「青い鳥」。
チルチルとミチルという幼い兄妹が
青い鳥を探して彷徨った挙句捕まらず、
諦めて家に帰ったら、なんとそこには
探し求めていた青い鳥が!
それは、前から飼っていた自分の
家の鳥だった。驚き!
だいぶはしおりましたが‥‥。
一般的なあらすじです。
本来の戯曲ではまた違う終わり方だったりしますが。
また「幸せの在処」を問う他にも
幼い子供たちの内なる部分の気づきへアプローチし
精神的な心の成長を促すお話だたりもします。
‥‥けれど、北風の内緒話で私が考えさせられたのは、
おとぎ話の意図とは少し切り離された、番外編という感じ。
「青い鳥の個人的な案件まりこ的視点」というか
なんというか‥‥。
ーーー以下、散歩途中の戯言。ーーー
「青い鳥」の本当の姿は「自由の鳥」という
北風の耳打ち、実は私としては、とても腑に落ちるのである。
青空を仰ぎながら、ああ、なるほどなーと思ったので、
あくまでも私が思う個人的なおしゃべりとしてここに。
確かに、飼っていた鳥は初めは
青い鳥として鳥籠の中に入り、飼われていたのだ。
けれど、なぜか籠の中の青い鳥の身体からは、
どんどん青色は失われていった。
毎日お世話をしていただろうチルチルとミチルすらも、
その本来の鳥の色を 完全に忘却してしまうほどに。
それでも鳥は、自分の体や翼が
青くなくなっても幸せだった。
退屈で平凡だけどなにしろ籠の中は安全だったから。
そうして鳥自身もいつしか自分が青色だったことを
完全に忘却してしまったのだ。
もはや、思い出す必要もない、
思い出すきっかけすらも‥‥。
いや、そのきっかけはほどなくやってきた。
チルチルとミチルの兄妹が冒険に出るという。
(兄妹にしてみれば決死の覚悟の旅な訳で
ワクワク要素があるものではなかったけど)
鳥は羨ましかった。なぜだろう、胸の奥が
ちくんとした。自由に家を出て自由に冒険をできる
チルチルとミチルを心底羨ましく思った。くそう。
そんな折、鳥は自分が居る鳥籠に
実はずっとカギがかかっていなかったことを知る。
——–鳥は気づく。
私は本当はいつだって自由だったんだと。
恐る恐る外へ出てみる。
さらに、空を飛んでみる!
——–鳥は気づく。
あれ? 私こんなに高く飛べる。自由に!
——-鳥はさらに気づく。
あれ? 私の色‥‥青く‥‥そうだ、私は‥‥。
‥‥私は! 青い鳥だった!
《 青い鳥が青で在る時。
それは、自由という中に在る時。
何故なら、青い鳥は自由の鳥だから。
青く自由で在れば在るほどに、
その姿を見て、人は「幸せ」を感じた》
北風吹いてないけど、答え合わせのような。
そういうことなのだ。
確かに、人間でも自分本来の生き方をしているだけで
周りを幸せな気持ちにする輩がいる。
人を幸せにする方法は、いろいろだなと
思ったことが過去にある。
青い鳥でいえば、
籠の中では自分を生きれていなかった。
自分本来の色を失うほどに「此処じゃない」のは
明らかだった。
けれどひょんなことで
自分を生きてみたら、自分の色が取り戻せた。
それまでの場所を否定するわけじゃなく。
その時自分にできる精一杯の選択であったその場所で
生きれた自分を誇ってあげるべきだ。たとえ自分の色を
失っていたとしても。
だけど、青い鳥がひとたび自分本来の色に
気づいてしまったなら‥‥。
その色を熱望する自分に気づいてしまったなら‥‥。
それはもうどこにいても
青で在る自分を 失えなくなるのだ。
だから、おそらく帰還したチルチルとミチルを迎えるために、
もう一度、鍵のかかっていない籠の中に自ら戻って迎えた時も、
青い鳥は元の姿の青のままでいられたのだろう。
ちなみに本来の戯曲の「青い鳥」の終わり方は、
チルチルミチルが自分の家の鳥が青い鳥だったと
気づいた時、青い鳥は「逃げて」しまうのです。
私もこの結末を採用しますが。
ただ私は、逃げたのではなく、
最後にお別れとお礼を言って、本来の青い姿を見せてから
「飛び立った」のだろうと回想します。
だって、青、それは青い鳥の魂の色だったのだろうから。
ふー。そうなって初めて本当の「幸せの青い鳥」だなー、
うんうん、と勝手な番外編に納得。
気づけば目的地「青い鳥」に着く。
‥‥寒かった‥‥と
外したマフラーから盛大に
静電気がパチパチはじけて四方八方に逆立つ髪のまま、
店のドアを開けた。
追記:
世界中のみんなが、いつでも自分の望む場所で
望む生き方を「自由に」できる世界が未来に在りますように。